8.「変えるという勇気」

人は一度、慣習を作ってしまうとそれに囚われてなかなかそれを変えるということができないものです。

慣習には、同じ事を(同じように)繰り返していれば、同じような結果を得られるという安心感を与えますが、それは、その慣習が正しく、また、まわりの状況が変化しないという前提があればこそ成り立つものです。

「慣習」をここではこれまでの仕事の進め方、仕方という意味で使って参りますが、良い慣習を残しながら、不具合な慣習を変えていくかということがいかに重要かについて考えてみたいと思います。

慣習を変える転機は、業務内容や担当が変わるときや経営環境が大きく変化したときなどに訪れます。
大企業の場合、業務のローテーションが比較的頻繁に行われ、今までのやり方(慣習)を見直すチャンスが多いと思います。しかし、前任者からの引継ぎにおいて、時間的な制約や前任者への配慮から、前任者のやり方を検証することなく無批判に受け入れ、そのやり方を踏破するとすればせっかくのチャンスも無になってしまいます。

一方、中小企業の場合、人員に限りがあることから、一つの業務に長期間従事することが多く、何年、何十年と同じやり方を繰り返していることが多いです。それ故、やり方を見直すという機会が少ない訳ですが、経営者の方は、これまでのやり方がそれでよいのか、つまり、無駄がないか、不正が発生していないかという観点から一度見直してみる必要があります。

実際にあった事例を 2件あげてみますと、経理業務において、経理担当者が、一つ一つの仕訳を丁寧に切って入力していました。なぜそんな時間の掛かるやり方をするのかと聞いたところ、前任者からそのように教わったのでと応えました。確かに一つ一つ丁寧に処理することは重要ですが、業務システム(販売、購買、給与システム)が整っていれば、そのシステムからの集計表ないし一覧表をもとに、まとめて一つの仕訳として処理する方が、時間の削減にもなり、ひいては、処理・入力ミスを防ぐことにもなります。担当者はもうこのやり方に慣れているので、この新しいやり方を最初は受け入れようとしませんでした。しかしこちらも何度か説得し、説明をして、なんとか新しいやり方を受け入れてもらいました。そして、今では、空いた時間で営業管理の仕事も一部受け持つようになりました。

もう一件は営業に関する事例ですが、その会社では、ベテラン社員はお得意様。新人社員は度胸をつけさせるということで、新規の飛び込み営業ばかりさせていました。それがもとで、新人社員の退職率が高く経営者の悩みの種でした。そこで、経営者の方と相談して、まず、新人社員に比較的関係が良好な顧客を担当させて実績を上げさせ、営業に自信がついたころを見計らって、新規飛び込み営業をさせるというやり方に代えてみました。やはり、当初はベテラン社員の反発もありましたが、このやり方を導入したことにより、新入社員でも新規の顧客獲得が増え、退職率も下がりました。また、副次的効果として、ベテラン社員と得意先との癒着・不正も摘発でき、今までの悪しき慣習を排除することも出来ました。

これらは、ほんの一例ですが、今までのやり方を疑ってみることも必要ではないでしょうか。担当者の反発・抵抗はあるでしょうが、経営者の英断とリーダーシップで見直す、変えるという行動を起してみてください。

ダーウィンの進化論においても、「大きく強いものが生き残るのではなく、環境に順応し変化したもののみが生き残る」とあります。変えるということは勇気がいることです。しかし、その時々の状況を把握して変えていくことで、新たな成長への一歩を踏み出せるのです。

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継続するチカラ

「継続は力なり」
経営にも同じことが言えます。事業が継続するからこそ会社が発展し、その事業が承継されるからこそ会社が継続し、そして発展していきます。
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